ドールの開発

  1. 人形設計図の作成(所要期間:3日〜7日)
    方眼紙に人形の設計図を描きます。正面、側面、背面を詳細に描きます。
  2. 芯材の準備(所要期間:約半日)
    完成した設計図の輪郭線の5mm内側を目安に、芯材切出用の型紙となるラインを引きます。
    トレーシングペーパーで、この型紙用ラインを写しとり、はさみで切り取って型紙が完成。
    この型紙を発泡スチロールの上において、切り出し線を引きます。この線をなぞるように側面 → 正面の順で芯材を切り出し、カッターナイフを使って側面をそぎ落としながら彫刻します。
  3. 下地の造形(所要期間:15日~)
    完成した芯材に5mm厚に日本製の石膏粘土を巻きつけ、下地のドールを作成します。粘土が完全に乾燥するのに15日程かかります。
  4. 本格的な原型の作成(所要期間:3年~)
    1. 粘土を盛ったり削ったり、を繰り返し、自分の納得のいくまでドールの造形を追及します。
      外観が整った時点で、腕・足・胴などのパーツに切り分けて、芯材を外して関節を挿入します。
      粘土を扱うヘラは割り箸を自分で削って作った道具です。
      その他に使用する道具はアイサイザー・彫刻刀・鋸など。(電動工具は費用負担が大きく取り揃えていません。)
    2. 関節の造形が終わった時点でゴムバンドを使って仮組みし、可動テストを行い、重心バランスなどチェックします。
      問題点を見つけたら分解 ⇒ 修正 ⇒ チェックの工程を繰り返します。(プロポーション、外観のバランスなどについては写真撮影した画像で視覚化し修正を行うこともあります。)
  5. 第一次複製にむけた原型の仕上作業(所要期間:約 2ヶ月)
    1. スポンジペーパー3種(3M社製:ミディアム ⇒ ファイン ⇒ ウルトラファイン )で原型表面を磨きます。
      研磨作業が終了したら、表面に残った石膏粘土の繊維くずをティッシュペーパーで可能な限りこすり取ります。
    2. 原型の表面に#1000のサフェイサー(グレー)を吹き付け ⇒ 研ぎ出しを繰り返し、微細な傷を除去します。
      サフェイサーで埋まらない傷については、溶きパテで埋めて、サフェイサーを重ね研ぎ出しします。
      完全に表面が滑らかになるまで、この作業を何度も繰り返します。
      研ぎ出し作業後、サフェイサーの皮膜が安定するまでに3日〜7日かかります。
      ※この表面処理の段階で造形の粗(アラ)に気づくこともあり、その場合は粘土の下地が出るまでサフェイサーを剥がし、Ⅳの工程からやり直します。こうなると更に 2 ~ 12ヶ月の作業期間が追加されます。
  6. 第一次複製作業(所要期間:6週〜8週):専門業者へ外注。
    この第一次複製物をOCEANMOON内では「Origin(オリジン)」と呼んでいます。
    このOriginは販売複製用原型の土台となるもので、通常は販売いたしません。(過去にOriginを販売したのは、昇龍と銀鈴のみです。)
    • 粘土の原型はキャストに比べ脆く、表面をより滑らかにするための研ぎ出し作業に耐えられない
    • 素材の質の差による構造欠陥の発見の必要性
    このような理由から原型のキャスト置換が必須となります。
    通常Originは3体~5体のみの複製依頼のみで、複製用シリコン型は廃棄されます。
    Originには販売用エディションに無い素朴さと独特の愛らしさがあるのですが、原型師としての視点では世に送り出すには未熟な部分も多く残ると判断し、開発工程が確立した現在は門外不出としています。
  7. 販売用複製に向けた初版原型の仕上作業(所要期間:約 2ヶ月)
    Originを土台に販売用初版の原型を制作します。
    上記Ⅴ‐ⅱと同じ作業を、納得するまで繰り返します。
    外観や構造修正が必要な場合、今度は粘土ではなくポリパテを使用します。
    サフェイサーの吹きつけ、研ぎ出しを繰り返し、表面が滑らかな状態になったら初版複製用原型の完成です。

    この原型から複製されたドールが1stエディションとして、発売されます。
    発売後も人気のあるヘッドやボディに関しては、1stを土台にした2nd、更に2ndを土台にした3rdと改修を加えながら、版を重ねることで、より品質を高めていくことになります。

技術革新により、最近は3Dプリンターなどによる原型作業の合理化がドール開発業界にも及び、短期間で次々と新商品を発表するメーカーも少なくありません。ですがOCEANMOONは全てをスタッフ二人の手作業でまかないます。
「私たちは全ての工程を手で直接作っています。機械が代替できない、ただ人の手で作ることができる美しさがあると信じているためです。――手で作ったものの美しさを知る人たちにOCEANMOONの人形を紹介したいです。 」

販売品の制作工程

いよいよ販売用ドールの制作工程です。

  1. 販売用複製作業(所要期間:6週〜8週):専門業者へ外注。
    詳しい製造工程は依頼先の企業秘密に当たるため、8年間取引関係を維持しているOCEANMOONスタッフでも見せてもらうことは出来ません。OCEANMOONは厳密な色彩調整などの品質管理なども契約内容に含めるために、他のキャストドールメーカーと比べ高い手数料で発注しています。
    キャストドールは、その入組んだ内部構造とデリケートなドール表面の再現のためにシリコン型によっての複製が行われます。
    シリコン型はその素材の特性から、金型に比べその寿命がずっと短いものであり、ボークス社でも金型で生産可能なソフビ素材のDDシリーズに比べ、SDシリーズが高価格な理由の一つに型の寿命差によるものがあります。
    シリコン型は使用するたびに型自体が磨耗したり変形してしまうために、原型と同等のクオリティが再現可能なの複製の限度数は一つの型につき25体までです。これを超えた数の複製も実際には可能ですが、OCEANMOONはそのようなことはせず、複製限度数に達した型は廃棄しています。
    納品された25体のうち、不良品として販売できないものがいくつか出てくるため、実際に販売可能なものは20体程度に減ることもあります。
  2. 複製物の徹底した検品(所要期間:~7日)
    1. 納品された複製物をカッター・アートナイフでバリ・ゲート除去作業をしながらくまなく検品します。
      その中で
      • シリコン型の継ぎ目であるパーティングラインの段差があまりに激しく目立つもの
      • 微細な気泡やレジンへの埃などの混入(ゲートやバリの下にも隠れていることがあります)
      以上については不良品として複製会社へ戻し、再複製をお願いします。(この品質保証も外注手数料の中に含まれます)
      正常品と判断した個体について、3M社製のスポンジペーパーでゲート・バリを除去した跡をならします。
    2. すべてのパーツが正常品であっても、組み立てすると、ボディーのバランスが合わないことがあります。
      そのためOCEANMOONでは全てのドールを組み立て ⇒ 可動チェックを一体ずつ行ったうえでこのような問題点を
      全部矯正します。 この重心調整までを検品作業に含みます。
    これらの作業を徹底することで、可動性・安定性を含めたドールの品質の高さを実現しています。
    ここまで執拗に検品するキャストドール制作者は、世界中でOCEANMOONだけだと自負しています。
  3. メイクアップ(所要期間:~7日)
    1. メイクの下準備
      ヘッドパーツ表面をスポンジペーパー(マイクロファイン)で整えながら、気泡や埃の混入がないか入念にチェックします。そのあと中性洗剤で離型剤を入念に洗浄し、水滴が残らないように徹底的にふき取って乾燥させたあとMr.colorつや消しのコーティング剤でベースコーティングします。
    2. メイクアップ
      アクリル絵の具でアイライン・下まつ毛・眉毛を筆描きします。(筆はVolks ZM-SPECIAL BRUSH01号を使用します。もっと微細な線を引くために、筆の穂先を半分ほど切り取って使用中です。)ラインが乾いたら、パステルでシャドウやチークを塗ります。
      Mr.colorつや消しのコーティング剤で仕上げコーティングをし、目元や唇にTAMIYAアクリル光沢剤(有光)を塗り艶出しします。メイクが完全に乾いたら木工用ボンドで、まつげを接着します。
    3. メイクの保護
      顔の周りに薄いスポンジを巻いた上で、顔面保護キャップをかぶせてペースアップの損傷を防止します。 

通常販売のドールセット(メイクオプション選択)はここで皆様の元に発送されます。

フルセット商品の開発

翻訳作業中につき、しばらくお待ち下さい